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「二回もそういうこと云うなんてひどいです!」
「おれのミスだって云ってる」
「三回め!」
忍び笑いがさざめく。
「藤本さん、ミスターマシーンもヒューマンエラーを起こすみたいよ。責任持って巻き返してもらわないとね」
「三沢補佐、かのー主任はもうわたしの上司じゃなくなるし、話すことだってなくなるから、巻き返しなーんて無理です! このままのわたしを受け入れてもらわないと困りますよぉ」
「はいはい。それだけ自己主張できれば立派。いってらっしゃい」
「いいかげんだとか嘘吐きだとか、最後っていうこの際だから加納主任には絡んじゃえば? いってらっしゃい」
三沢のあとを塚田が興じて続いた。
「じゃあ遠慮なく。いってきまぁす」
「塚田さん、よけいな一言だろ」
ふたりの言葉が重なった直後、引っこ抜かれるように腕を持っていかれ、南奈は慌ててバッグをつかむ。
「ふたりでフケても追及しませんから」
男性の声はだれなのか、そんな戯れ言を背中に聞きながら貸切部屋を出た。
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