依存と許容

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目覚めるとそこは全く知らない場所だった。 白を基調としたファブリック。 そしてベッドの横にはパーテーションのように仕切られた白いカーテン。 天井には無機質な照明が取り付けられ、周囲からは数名の男女が会話する声が聞こえていた。 「・・・笑美!?」 すぐ隣で私を呼ぶ声が聞こえる。 優しい声色。 だけど今は、その声はわずかに震え不安感を顕にしているようだった。 「・・・ここは?」 ゆっくりと顔を動かし辺りの様子を伺う。 白いカーテンに囲まれたここはどこかの病院のようだ。 そしてシルバーリングを着けていた右手に感じる温かいもの。 その方向に目をやると、己一が涙を浮かべたまま大きな両手で私の手を優しく握っていた。
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