星也×沙那 【夢の前には】

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*** 腹部に鈍痛を感じて目を覚ますと、朝と呼ぶにはまだ早すぎる時間帯だった。 腕の中には気持ちよさそうに寝息を立てる、トレードマークのポニーテールをほどいた彼女。 ひとしきり抱かれて疲れたのか、昨晩の行為の後、沙那はベッドに突っ伏したまま眠りに就いてしまった。 星也もつられるように毛布にくるまり、共に夢の中に突入したはずだが。 安眠を妨げた鈍い衝撃の正体は、眠っているはずの彼女がお見舞いした必殺キックである。 星也はベッドから下り、宮棚に置いた眼鏡に手を伸ばした。 次いで乱れた毛布を剥ぐと、滑らかな白い肢体が露わとなる。 彼女の膝の裏と脇の下に手を差し入れ、一旦抱え上げて丁寧に下ろし毛布を掛け直した。 彼女の寝相が宜しくないのは交際以前から知っている。 多くの他人の前では猫かぶりなくせに、気を許した相手には意識がある時もない時もとことん攻撃的だ。 人によっては百年の恋も冷めるかもしれない。 きっと自分じゃなきゃ耐えられないだろうと、自画自賛にも似た自惚れを胸中で呟いた。
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