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体を起こして宮棚の目覚まし時計を見やれば、深夜から早朝に移り変わるくらいの時刻だ。
思ったより寝ていない。
昨日起こったありとあらゆる出来事に、脳が冴えすぎて眠れないのかもしれない。
ぐしゃぐしゃと黒に染めたばかりの髪を掻き上げる。
それにしても、何て嫌な…。
仲直りして半日も経っていないというのに、奥底で描いていた不穏な想定が夢として表れてしまうなんて。
もっとも、既にある意味引かれているかもしれないが。
昨晩の帰宅後は早々、休む暇も与えず玄関で押っ始めてしまった。
「家の中上がらせずにヤるとか…俺ってサイテー」
玄関での行為の後、一緒に入った風呂では『私だけ胸もお尻も出して寒かったんだからね!』と抗議されてしまった。
その場は平謝りで凌いだが、これからはちょっと気を付けなきゃなと自分に言い聞かせる。
夢が正夢になってはたまらない。
突っ返されるのは二度と御免だし、もう彼女は何よりも失いたくないかけがえのない存在なのだ。
なのに昔の自分ときたら―――どうしてもっと早く手に入れなかったのだろう。
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