水上×瀬名 【グラタンができるまで】

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自分の背中と彼の胸元が触れ合っているのが分かる。 体のあちこちにセンサーがついているみたいに、触れている箇所から熱を帯びてくるようだ。 …どうしよう。 教えてもらってるのに心臓がうるさくて集中出来ない。 不埒な思考に陥った己を恥じた瀬名が俯くと、背後の水上は不思議そうに彼女の顔を覗き込んだ。 「玉ねぎ目に沁みた?」 「だ、大丈夫ですっ」 手が離されて安堵の息を吐く瀬名。 しかしそれも束の間、どうやらとうに思考は不埒な道一直線になってしまっていたらしく、彼が隣にいると意識するだけで心が落ち着かない。 「ニンニクを炒めて、香りが付いたら今切った玉ねぎを入れるよ」 説明しながら水上がフライパンと木べらを動かす。 その動きにいちいちドキドキしている自分は、頭のネジがどこか壊れてるんじゃないだろうか。 いや、いっそ壊れてる事にしてしまいたい。 ただ御飯を作っているだけなのに―――もっと抱き締めてもらいたい、だなんて。 これが正常運転だったら自分はどこまで色に溺れてるんだろう。 水上が真面目に教えてくれてる事を思うと、そんな欲を抱いている事が愚かに感じてならない。
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