水上×瀬名 【グラタンができるまで】

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調理は滞りなく、炒めた玉ねぎと挽き肉、じゃがいものピューレ、チーズとグラタン皿に順に敷かれていく。 「よし。あとはオーブンで焼くだけでアッシパルマンティエの完成。 焼き時間は15分くらいかな。その間何作ろうか」 「サ、サラダとかスープとかデザートでしょうか…」 首を傾げて尋ねる水上に、調理器具を洗い始めた瀬名はどぎまぎと答えた。 「はは、泡ついてる」 水上の視線が自分の顔に向いているのに気が付く。 手が泡で塞がっているため、二の腕で頬を拭おうとすると、 「こっち」 拭ったのとは反対の右側の頬に水上の指が添えられた。 ドキリ、とまた心音が跳ねる。 「あ、りがとうございます」 何とか平静を装うも、水上の優しい眼差しが真っ直ぐと射るようなものに変わった。 頬に触れた指は滑るように瀬名のこめかみをなぞる。 常は下ろされている黒髪は、今は料理中とあってサテン生地のシュシュで一つに括られている。 「髪縛ってるのも可愛いね」 そう囁くや否や、水上は瀬名の体を腕の中に閉じ込めた。 「まっ、待って鷹洋さ…手が…っ」 泡だらけだ。 彼の背に回すのは憚られ、どうしようも出来ない両腕はだらんと下ろすほかない。
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