共謀

38/39
7943人が本棚に入れています
本棚に追加
/1157ページ
「あ・・・すみません、先生。つい、自制できませんでした。」 「なんの、おまえさんの気持ちはわかるわい。私も、あの阿呆を殴り飛ばしたい気持ちでいっぱいだからの。」 自分に内緒で、自分が管理するこの館の住人に、新薬の治験をさせていた親友を。 「睨まないで、貴之。君が彼らを大切にしているのは分かっていたから、言えなかったんだよ。」 「先生。こいつは、俺とオーナーとの間の契約だ。ちゃんとサインして始めた仕事の一環だ。ま、ようするに共謀してたんだよな、俺たち。」 菅野に殴られた場所を撫でながら、ヤクさんが言った。 「しようがねえよ。始めた頃は菅野とオトさんしかいなくて、オトさんは治験できるような体じゃねえだろ?んで、菅野はさ・・・まあ、俺が自分の楽しみのために引き受けたってことでいいじゃねえか。」 ヤクさんが、初めて少しだけ言葉を飲み込んだ。
/1157ページ

最初のコメントを投稿しよう!