先生とモトさん

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「オトさんの部屋だけは、ノックだけで入ってはいかんぞ?必ずこのブザーを鳴らしなさい。」 「ブザー・・・ですか?」 「そう。」 先生は、ドアの横についている小さなボタンを指した。 それを押してみせる。 しかし、モトさんには何も聞こえない。 「いや、聞こえんでいいんだ。中でけたたましく鳴っとる。」 「・・・完全防音、ですか。」 「うむ。」 先生は、物わかりのいい生徒を相手にしているように、満足そうに頷いた。 「オトさんの出す音がダダ漏れになると、非常に都合が悪いのでな。オトさんは、作曲もするしピアノも弾く。」 その何が都合が悪いのか、モトさんにはさっぱり分からなかった。
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