先生とモトさん

6/15
7945人が本棚に入れています
本棚に追加
/1157ページ
西棟と東棟は、正面の階段ホールで分けられる。 その壁には、さまざまな絵画が飾ってあり、ニッチと言われる壁にしつらえられた棚には、小さいが高級そうな陶器が飾られていた。 「ギャラリーだそうだ。値段も価値も、さっぱりわからん。」 そこは、オーナーである黄嶋の趣味なのだろう。 そして、東棟。 「こちらは、私しかまだ入っとらんかったんで、おまえさんはその正面に入ってもらった。南向きの部屋だが、気に入らんかったら言ってくれ。空きはまだあるからの。」 自分に割り当てられた部屋のドアを開け、モトさんは立ちすくんだ。 アイボリーを基調として薄いグリーンのアイビーが描かれた壁紙。 それと対をなすようなカーテンは、逆に濃いグリーンで広い窓からの光を防ぐ遮光仕様になっている。
/1157ページ

最初のコメントを投稿しよう!