先生とモトさん

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「個人のものは・・・あまり持ち出せませんでしたから。」 ぽつりとつぶやく言葉が、重かった。 先生は、モトさんの背中をぽんぽんと軽く叩いた。 「ま、人それぞれと言うことさ。気にしなさんな。言いたくないことは言わんでいいのも、ここのルールだ。」 モトさんには、なにやら深刻な理由がありそうだと、先生は思ったが今は聞かなかった。 まずは、ここが安心できる場所だということがわかること。 そして、ともに暮らす住人たちを少しでも信用すること。 それができなければ、誰が自分の過去の話をぺらぺらと話すものか。 なので、先生はこれ以上つっこんで聞く気はなかった。 「まあ、地下については、後での。何か質問は?」
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