黄嶋由岐彦の独白 ー2ー

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そんなにショックを受けられても困るんだけどね。 だって、仕方ないじゃないか。 僕が黄嶋グループを継ぐことは決まっていたし、大学も大学院も出たら、あとは系列の会社でちょっと働いて、それで父の跡を継ぐって道までできていたんだから。 そしたら、今度は命を狙われるより面倒くさいことが起こったんだよ。 もうね、親族からがんがんとねじこまれて。 ああ、結婚のこと。 早々に次の後継者のことを言われるようになって。 20代半ばで、まだ継いでもいないのに、何それって感じでしょ? でも、親族からしたら、黄嶋財閥の中心に食い込むチャンスなわけだ。 自分の娘を売り込むってことだよ。 そりゃあもう、うっとおしいほど。
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