第1章

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お父さんとダディみたいに何年先、何十年先と恋人同士みたいになれる人が現れる? 周りの男たちは物心ついた時から、恋人がいる状態で初恋もまだな私。 多分、きっと私の中にある理想の基準が高いせいよ。 お父さんみたいな人がまっっっっっったく、いない! 当たり前だけど。 脱衣室でスッポンポンになり、バスルームに入る。 シャワーのお湯を出しっぱなにして、髪を濡らす。 ブロンドに近い色をしている。 ダディの綺麗な色だったら良かったのにと何回思ったことか。 ダディは綺麗だよって誉めてくれるけど、血の繋がりが欲しかったとも思う。 あれは私が何歳の時だったかしら? ある日、お父さんが私と2人っきりになって、私の出生の事情を言ったわ。 言ってくれた時、ドキドキしたの。 実のリョウシンじゃないって知って悲しかった。 似てないってどこかで思ってたけどね。 やっぱり――って。 だけど、お父さんが言ってくれたことにも嬉しくなったの。 “お前はお前が望んで俺たちの所に来た” 私を産んでくれた母親は私が生きるための選択をしたのだと。 それから、実の父親の事も。
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