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白い町
『・・・殴られた。大事な、私の大事な息子から。』
頭が真っ白になって、何も考えられない。
「どうして?」
その問いに答える様に、背後からそっと抱きしめられる。
のそのそと振り返ると、少し悲しそうな夫の顔が見えた。
「なあ、覚えているか?」
「え?」
「あの、けやきの木。まだあるかなあ。」
脳裏に、真っ白なけやきの木が浮かぶ。
どこからか、子供の呼ぶ声が聞こえる気がした。
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