狂気のゲームパーティー

スペードの3 ①

　目隠しを外されて今の状況がようやく把握できる。

　固い椅子に縛り付けられていた事は既に理解できていた。
　視界が確保されると、無骨な鉄製の椅子に、自分の胴体、首、腕、足の全てが頑丈な黒い皮のベルトで縛り付けられている事に気付く。拘束を目的とした椅子のようだ。
　そして、目の前には同じ状況の、正確には同じ状況であろう、同い年ぐらいの少女が一人。

　僕が自分の状況を判断したのは、少女の拘束状況を見ての事だった。
　怯えた表情で、拘束され、口にバーギャグを噛まされた少女が僕を見つめてきた。

　落ち着いて状況を整理できたのは、拘束された事に気付いてからかなりの時間が経ったからだ。
　頭の中で今の状況を整理しながら、僕はこの状況に至るまでの経緯を振り返った。

　僕は最近、とあるゲームサイトにはまっていた。

　『Original Game Fiend（オリジナルゲームフィーンド）』。略して『OGF(オージーエフ)』。

　そこではユーザー自身が考えたゲームが多数投稿され、実際にユーザー同士でそのゲームがプレイされる。
　ゲーム内容を提案し、多数の支持を得て採用されると実際にサイトにゲームが反映され、ユーザーはそれをプレイできるようになる。
　プログラミングの技術などがない人でも、自分の考えたゲームを現実のものにできる。ゲームの内容はテーブルゲーム系統のものから、ユーザーが考えたオリジナルキャラクターやシステムが登場する格闘ゲーム、ユーザーが持ち寄った案で作られたRPGなどなど、多岐にわたる。
　『自分の考えたゲームができる』、それだけでかなり注目が集まっていた。

　更にサイトにはランキングがあり、ゲームの勝敗により変動するポイントにより、多くのユーザーがゲームの実力を競っている。
　ゲームをジャンル毎に分け、ジャンル別ランキング、ゲーム別ランキング、そして当然総合ランキング等、日別、月別などの期間別ランキングも集計され、そちらもかなり白熱している要素のひとつだ。
　ランキングが多岐にわたるため、割とゲームが好きだけどやりこまない、という人もランキングに入れたりするのも参加意欲をそそる。

　何を隠そう僕、三井洋（みついひろし）もこのランキングにドハマリし、ゲームをやり込んでいる一人だ。