スペードの3 ①

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 そして、中でも最大の総合ランキングにて、上位52名に与えられる『カード』の称号を持つトッププレイヤーの一人だ。  『カード』の称号は、トランプの札をモチーフに決められている。  数字がランキングのベースで、2から始まりKに進み、Aを最強とする。  4スートの強さはクラブ、ダイヤ、ハート、スペードと強くなる。  つまり52位は『クラブの2』、最強とされる1位のプレイヤーには『スペードのA』という称号が与えられるのだ。  この中で僕が持つ称号は『スペードの3』。  つまり総合45位のプレイヤーこそが僕なのだ。  そう。僕はこの『カードプレイヤー』、上位52名による、『OGF』オフ会に参加していたのだ。  『OGF』の代表管理者、『JOKER』に招かれて。  思いもよらぬ豪華なパーティー会場に、他の51人のランカーと共に集まり……  そして、ふと気付くとここに拘束されていたのだ。    間違いない。  あの会場で、薬か何かで僕達は眠らされた。  そして、ここに拘束されたのだ。  目の前にいる女の子も、確か会場でちらりと見掛けた。  となると、他の人達も別の場所で、同様に監禁されているという事だろうか?  状況の整理が終わり、ごくりと息を呑んだタイミングで、唐突に殺風景な部屋に放送が流れた。 『皆様、ゲームのお時間デス』  ボイスチェンジャーを通した、歪んだ高音が響き渡った。  部屋は真四角。白い壁には扉がひとつ、天井にぶら下がるスピーカー、監視カメラ、そして僕達が拘束された無骨な椅子がふたつ。  そこで響いた声は、楽しげに笑いを噛み殺しているようだった。  ガチャリ、と鉄製の扉が開く。  そこから姿を現したのは、二人の黒服の男だった。  体格のいい二人の男は、目元を隠す仮面をつけている。  ガラガラと何かの台を押してきた男達は、台の両脇に立ち、腕を後ろで組んで姿勢を正す。  台には薄型テレビがひとつ、そして今の姿勢では小さくて見えないが、いくつかの小物が載せられているようだった。  ゲーム? この男達は? そして、あのテレビは?  テレビが点く。  画面に紙袋を被ったスーツ姿の男が映った。 『どうもトッププレイヤー皆サマ。ボクがJOKERデス』  JOKERを名乗る男は、画面上で両手でピースを作る。  こいつが、JOKER?
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