スペードの3 ①

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 こいつが画面で喋っているという事は、こいつが僕達を監禁した犯人だと言う事か?  画面のJOKERはオーバーリアクションで腕を大きく広げて掲げ、体を揺らした。 『皆サマに本日お集まりいただいた理由は他でもない。本日は我が「OGF」のトッププレイヤー、カードの称号を持つ皆サマに、「究極のゲーム」を楽しんで頂く為デス!』  究極のゲーム。  何を言っているのか。訳が分からない。  目の前の女の子も目に涙を溜め、更に大きく震えている。 『究極は極限からしか生まれナイ。故に究極は極限状態にアル。皆サマが行うのは極限のゲーム。命懸けのゲームデス!』  命懸け。嫌な響きに思わず目を見開いた。 『負けたら死ぬ、デスゲーム! どうデス? ゲームで死ねるだなんて、「Game Fiend(ゲーム中毒者)」の皆サマにとっては最高の幸せデショウ!』  ふざけるな。叫びたくとも口は塞がれている。  ゲームで負けたら死ぬ? そんなゲーム参加する訳がない。 『まぁ、嫌だというお願いは聞かないヨ? 拒絶は負け、即死デス! 今の状況を考えれば、冗談じゃない事はお分かりデスよね?』  監禁。拘束。確かに冗談で済む状況じゃない。  逆らえばどうなるかは容易に想像できた。 『マァ、命に見合う勝利報酬は用意していマスのでご期待下サイ! 突然の事で戸惑ってはいるデショウが、状況を受け入れて下さいネ!』  できるか。ふざけている。  勝利報酬? デスゲーム? 何なんだこの漫画のような状況は。   『まずは最初のゲームを始めマショウ! 実際にプレイして、状況を受け入れて貰うのが、トッププレイヤーの皆サマにとっては手っ取り早いデショウ! 皆サマに挑んで頂く究極のゲーム第一弾は……』  テレビ画面にバラエティ番組で使われそうな、ふざけたフォントの文字がでかでかと表示された。  それにあわせて、スピーカーから第一のゲームが宣言される。 『指切りジャンケン』  この唐突にして理不尽な状況が『Game Fiend(ゲーム中毒者)』達による、究極にして最悪のゲームの幕開けだった。
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