スペードの3 ①

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 JOKERによるルール説明が行われる。 『「指切りジャンケン」のルールは簡単! 普通のジャンケンデス! ぎゅっと握った拳はグー、人差し指と中指だけを立ててチョキ、手をぱっと広げてパー。グーはチョキに勝ち、チョキはパーに勝つ、そしてパーはグーに勝つという三すくみ。トッププレイヤーの皆サマでなくとも、誰でも知っている最も有名なゲームデスね!』  知っている。だが、『指切り』という不吉な響きが気に掛かる。 『但し、「指切り」というダケあって、当然それ以外に特別ルールがありマス』  やはりか。僕は思わず息を呑む。 『「グリコジャンケン」、知ってマス? 今回はこのゲームにこちらの要素を加えマス!』  子供の頃に時折やった事がある。  ローカルルールなどあるだろうが、僕が経験したそれはこんなルール。  じゃんけんをする。  グーで勝てば「グリコ」で三歩。チョキで勝てば「チョコレート」で六歩。パーで勝てば「パイナップル」で六歩。  そうやって歩みを進めていき、目的地に先に辿り着いた方が勝ちというゲームだ。  その要素を混ぜるという事は、勝利した際に何らかのポイントが入り、それが勝ちの目によって変わるという事なのだろうか?  そんな甘いルールの筈も無い。『指切り』という言葉の引っ掛かりは、ここで解かれる。 『但し、皆サマは今縛られている状況デスし、歩いて部屋を出て行かれては困りマス! そこで「指切り」!」  JOKERが指を立てた。 『グーで勝ったら、負けた相手の指を一本「石」で潰しマス』  一瞬耳を疑った。いや、今の状況を考えれば、疑いようのない事だった筈だ。それでも信じられない。信じたくなかった。 『チョキで勝ったら、負けた相手の指を一本『ハサミ』で切り落としマス』  ようやく運ばれてきた台に何が置かれているのか分かった。  あれはハサミだ。そして石だ。あれはゲームの小道具なのだ。 『そして、パーで勝ったら……負けた相手の指を一本『紙』でピッ、と切りマス』  最後だけ、妙に拍子抜けな声でJOKERが言った。  確かに痛そうだったが、他のと比べれば大分拍子抜けな『罰ゲーム』だった。  しかし、笑えない。  ハサミで指を切る。石で指を潰す。洒落にならない。
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