2人が本棚に入れています
本棚に追加
それを聞いて、目の前の女の子は、拘束されている首を必死に動かそうとしていた。目からはもう涙が溢れ出し、必死で口をもごもごと動かしている。
『勝負は十回勝負! あいこでも一回とカウントしマス! つまり、十回あいこだったら互いに指を失う事なく、ゲーム終了! 引き分けとなりマス!』
だったら、あいこ十回を狙えばいいのか?
そんなに甘いゲームを、こんな状況を作り出した狂人が考える筈もない。
『おっと、ここで補足説明デス! 実際ルールはこれくらいデスが、いくつか守るべきルールを設けマス!』
JOKERは楽しげに首を振る。
『ひとつ、勝者はセカンドステージへと進み、敗者は即刻デストロイ』
JOKERがくすりと笑った。
『つまり、死んで貰いマス』
だろうな、とは思った。
命懸けだとJOKERも言っていた。
指を失うだけで済む筈がない。
しかし、次の言葉は思いも寄らぬものだった。
『あ、あと引き分けの場合は互いにセカンドゲームには進めまセン! 脱落という事で、このままお帰り頂きマス!』
正直予想外だった。
何故なら、JOKERの言葉はこういうことを意味しているからだ。
二人であいこを出し続ければ、二人とも無事解放。
ここまでやっておいて、無事に助かる道を、みすみす見逃す道を用意している。
逆に不気味だった。
その光明の裏に、何かがあると疑わざるを得なかった。
『ちなみに、どの手で勝っても入るポイントは1! あいこや負けは0ポイント! 十戦終えての総ポイントで勝敗決定デス!』
グリコジャンケンからルール拝借というのは、「指切り」のペナルティについてのみらしい。しかしそれに何の意味があるのか。
薄々理解はできている。
続くルールは思わぬものだった。
『そしてふたつ。一回戦ごとの「指切り」は、対戦プレイヤー自身が行いマス』
くらっとした。
じゃんけんで勝てば、指を切る。
それをプレイヤー自身がやれ、というのか。
人の指をハサミで切る? 人の指を石で潰す?
嫌だ。絶対に嫌に決まってる。
そんな残酷なこと、できる筈がない。
最初のコメントを投稿しよう!