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「考えたくない考えたくない考えたくない」
あの時の記憶が脳内を駆け巡る間、俺はずっと呟き続けた。
ほぼ放心状態の俺は、腕を引かれて歩いている。
赤いレンガが綺麗に敷かれた道を歩いてる。
左右にアーチのような風に並んでる木々は揺れてる。
胡凪は無言で前を真っ直ぐ向いて俺の手を引っ張る。
「俺が悪かったんだ俺が離れて歩いてなければ良かった。気恥ずかしさとか、気にしてなければ。手ではなく腕を掴んでれば。俺が手袋を外せと言ってれば。俺が死ねばよかった」
深月が亡くなったのは俺のせいだと思ってる。
ずっと。
何故俺が生きてるのか疑問に思ったこともある。
深月が死んでからは、両親とはあまり話さなくなった。
俺のせいだと思っている錯覚に見舞われるのが嫌だったから。
それからは友達付き合いを止めた。
学校にも行くのをやめた。
親しい者をつくるのを止めた。
周りの目を気にするのもやめた。
そして俺は心が割れ物だと知った。
割れたモノは治らない。
もう元には戻らない。
俺の心は割れてしまってる。
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