俺は陰キャラに徹してた

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「……かえってきた」 俺は一言口にする。 これは合図。 お互いに決めた合図。 精神異常を来して、ある程度安定した時に発する合図。 これを言う決まりで、それを聞くまでは何も言わず、周りの目を向けないようにする決まり。 「もう家の近くだよ」 「悪いな……」 「謝らないでよ。それは言わない約束でしょ」 そんな約束はしてないけれど、そんなやり取りは御約束。 こんなことで頼りに……いや共倒れできるのは胡凪だけ。 それは、偶然知ったのが胡凪だったからで、違う人だったとしても変わらない。 それは持ちつ持たれつの問題。 だから、この関係には。 なにもない。 これは俺だけが思ってることではなく、むこうも同じだろう。 「ほら、行くよ」 手ではなく腕を引っ張られる。 俺は手を繋ぐのも繋がられるのも出来ない。 あの精神異常の引き金になりかねない。 もう手はトラウマなのを理解してくれているので腕を掴まれる。 そして、俺はこれが嫌でも振りほどけない。 それはアイツの引き金を引くことになるから。
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