俺は陰キャラに徹してた

12/23
前へ
/32ページ
次へ
「ただいまー」 「お邪魔します」 年に一度訪れてる家。 勝手はわかってるけど、下手に動けない。 もしかしたら、今年こそは、 「胡凪、親は?」 「ん?今日はいないよ?」 やっぱり、今年もいませんてした。 「荷物は置いてきてからリビングにこーい」 言いながらアイツは一階のリビングへ消えていく。 俺は二階に位置する胡凪の部屋へ。 こいつとは何もないとわかってるからドキドキもしない。 なんてことはない。 年頃ですから、さすがに気にしろよって言いたい。 『胡凪』と書かれたプレートのある扉を開ける。 「変わってない。普通だなぁ」 去年とまったく変わってない。 シングルベッドに机。タンスに本棚。 青いロールカーテン。 胡凪の部屋しか知らない俺だけど、女の子の部屋はこうじゃないと言うことだけはわかる。 「思春期の男には毒だな」 掛け布団が乱れてるベッドとか。 ちょっと、いやかなりドキドキするのが悔しい。 そしてちょっと寝てる姿想像した自分が恥ずかしい。 アイツ顔だけは優秀だから困る。 荷物を端に寄せて、制服のブレザーを脱ぎYシャツの裾を捲りながら、リビングに向かった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加