8人が本棚に入れています
本棚に追加
「ただいまー」
「お邪魔します」
年に一度訪れてる家。
勝手はわかってるけど、下手に動けない。
もしかしたら、今年こそは、
「胡凪、親は?」
「ん?今日はいないよ?」
やっぱり、今年もいませんてした。
「荷物は置いてきてからリビングにこーい」
言いながらアイツは一階のリビングへ消えていく。
俺は二階に位置する胡凪の部屋へ。
こいつとは何もないとわかってるからドキドキもしない。
なんてことはない。
年頃ですから、さすがに気にしろよって言いたい。
『胡凪』と書かれたプレートのある扉を開ける。
「変わってない。普通だなぁ」
去年とまったく変わってない。
シングルベッドに机。タンスに本棚。
青いロールカーテン。
胡凪の部屋しか知らない俺だけど、女の子の部屋はこうじゃないと言うことだけはわかる。
「思春期の男には毒だな」
掛け布団が乱れてるベッドとか。
ちょっと、いやかなりドキドキするのが悔しい。
そしてちょっと寝てる姿想像した自分が恥ずかしい。
アイツ顔だけは優秀だから困る。
荷物を端に寄せて、制服のブレザーを脱ぎYシャツの裾を捲りながら、リビングに向かった。
最初のコメントを投稿しよう!