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「あぁー、また平均点以下だわ」
「え、まだマシだろ、俺なんて赤点ギリギリだ」
「ほらー、だから駄目だって言ったのよ、私一桁なんだけど」
定期テストの返却。
名前順で呼ばれては、先生から軽く一言もらい、友達同士でギャハハと笑いながら不幸自慢。
こんな光景は、もう中学からの恒例なのだろうか。
俺は机に肘を付き、開いているドアからボンヤリと廊下を見詰める。
高くもない、むしろ低いとしか言えない点数を何故自慢できるのか。
どこも面白くないし、むしろ虚しくすらある。
「次、空知ー」
気だるさの残る声で俺は呼ばれる。
目立たぬように静かに立ち上がり、騒いでるクラスメイトをのらりくらりと避けて、一番前にある教卓へと向かう。
「はいよ」
ぴらっと渡される答案用紙。
俺は無表情で受け取ると、先生は紙から一向に手を放さない。
放せよ、意地悪か。
「お前、無駄にハイスペックだよな。もっとショボくていいから人間性を磨け?」
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