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「今回はトップ、空知 深夜、満点。チャイムがなるまでは教室から出るなよー、以上だ」
そして、出ていく、嫌な空気を残して。
名前を出された俺に視線が集まるのは肌で感じた。
クラスどころか学年でトップなのは間違いないだろう、満点だから。
それでも俺に話しかけてくる奴は、極々一部。
それは俺が、無口でいつも一人だからだったりする。
端から見たら『なんだか無口の暗い奴』そんな位置付けだろう。
このクラスで話しかけてくる例外はたったの一人。
海花 胡凪─うみはな こなぎ─ソイツだけだ。
小学校から同じで、俺の心傷を守ってくれる奴。
その代わりアイツの傷は俺が守ってる。
いや、違うか。
共倒れしてる。
それはお互いの事情があるからで。
そこに男女の仲や恋なんてない。
むしろ、
なにもない。
だからと言って友達だとは言えない。
それは友達以上恋人未満という意味ではなく、友達にすら成っていないと言う意味。
まだ始まっていない、とても不安定な知り合い程度だ。
「ねぇ、みーやー君?」
その笑顔が怖ェよ。
そう思った瞬間にはチャイムが鳴り響き、本日の高校が終わりを告げた。
よし、逃げよう。
スクールバッグを掴み急いで教室を抜ける。
けど、腕が教室から出れない。
掴まれて、捕まった。
「おーい、逃げるなよ深夜」
「放けバカ」
「お?お?やるのかい、深夜ちゃん」
ニタニタ笑う胡凪は弄る気が満々、と言うか俺をちゃん付けで呼ぶ時点で、ふざけてる。
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