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嫌いじゃない。
むしろ周りの奴よりも妹思いだと思ってる。
シスターコンプレックス程ではないけど、妹は大切だった。
『ちょっと飲み物買ってくるね、お母さん』
『深月一人じゃ危ないでしょ、深夜君一緒に行ってあげて?最近は物騒だからね。これで好きなもの買ってきておいで』
『えー、しかたないか、わかったよ、買ってくる』
そして場面が切り替わった。
地元のコンビニ。徒歩3分だ。
『これとー、これと、これ!!』
深月が楽しそうにお菓子と飲み物を選んでる。
その手には薄い手袋のようなものを嵌めてた、絵を描く際にいつも着けている手袋、手に絵具がつかないようにしてるらしい。
そんな手袋は絵具だらけで外すべきだろうが、手に持ったモノはもれなくカゴに入れてる。
迷惑にはなっていないからそれを良しとし、俺はそれに少し離れて着いていくだけ。
お会計を済ませて、大きく膨れた袋を振りながら深月は歩いてた。
俺は少し離れた距離を保ち歩く。
妹が嫌いじゃないとは言え、誰かに見られたら恥ずかしい。
そんな気恥ずかしさに見舞われないための処置だった。
買い物に予想以上に時間を喰われ、辺りは暗くなりつつある。
ボーっと空を見上げながら歩いていると、
『兄ぃー!!なにやってんの、電柱にぶつかるよ』
完全にこちらを向いて、袋を振り回してる。
目線を前に戻すと、たしかに電柱。
危ない危ないと思いつつ、歩き出す。
何となく眺めた前方遠方には、車がこちらにきてて。
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