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「あの、ユンさん。私のパートナーの人は住み込みになるのですが、大丈夫ですか?」
「あ、はい。大丈夫です。サクラさんから聞いてますので」
「そうですか! よかった」
いまだ手を握りあったままの私たちは、なぜかくるくると回っている。ユンさんはわからないが、私の目はまだ回っていない。ふふ、なんか楽しいな。
いやいや、楽しんでる場合じゃなかった。今からユンさんの荷物をとりに行かなくちゃ。私も行けば夜に着くかな。あ、でもユンさんの住んでいるところを聞いていないや。遠かったら明日かな。
「ユンさん。すみません。荷物なんですが今日とりに行ける距離ですか?」
「あ。あの、リラさん」
「はい。なんですか?」
「その事なんですが、実は荷物を外に置いてあるんです。中に運んでも大丈夫ですか?」
「あ、はい! もちろん大丈夫ですよ! 部屋は掃除してありますし、ぴかぴかですから!」
「ふふ、ありがとうございます」
「荷物はたくさんありますか? 運ぶの手伝います!」
くるくる回るのを止めて、少し寂しいが手も放した。
「ありがとうございます。えっとこれをお願いしてもいいですか?」
「はい! 任せてください!」
手渡された箱を持って、ユンさんを部屋に案内する。
「ここがユンさんのお部屋です! 好きなように使ってくださいね!」
「はい、ありがとうございます」
「あ、この箱はどこに置けばいいですか?」
「その角にお願いします」
「はい! 私次の荷物をとってきますね」
「ありがとうございます。でも、リラさん。もう全部持ってきました」
にこにこ笑うユンさんを見れば、軽々と多くの荷物を持っている。
あれ、私役に立ててない気がするぞ。
「リラさん、ありがとうございました」
「あ、いえ」
ああ、もう。まだ短い間だけど、ユンさんといると自然と笑顔になってしまう自分がいる。だってユンさんが私に話しかけてくれる時は必ずと言っていいほど笑顔だから。つられて私も笑顔になる。たぶんユンさんは私の小さな変化にもすぐに気付いてくれてるんだろうな。
……優しい人だ。そして温かい。
「ユンさん! 私は夕飯を作ってきます! 楽しみに待ってて下さいね」
「はい」
返事を聞いて私はキッチンへと歩き出した。その足取りはとても軽くて。ユンさんと一緒に食べるご飯の事で頭が一杯だった。
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