兄弟喧嘩にはリラ

2/10
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
 おはよう。気持ちのいい朝だね、 と部屋に置いてある時計に話しかける私。  端から見たら、ただの変人だと思う。 「でも、本当に気持ちのいい朝だなあ。んー」  伸びをしながら窓の外を見ると、小鳥たちが楽しそうに空を飛んでいる。  ……いいなあ、私も飛びたいよー。 だって私、魔法使いなのに箒を使って飛べないんだよね。 「あ、なんか悲しくなってきたぞ……」  他の魔法使いは箒を華麗に使って飛んでるのに。な・ぜ・だ。なぜ飛べない。  ……はっ、いいことを思いついた。大きな鳥に乗れば飛べるかもしれない。まあ、飛ぶのは私じゃないけど。気分だけは味わえるよ。やったね。 「って、なにを考えてるんだ! 冷静になれ、リラ! 早く支度しないとお店が開けられないんだぞ」  と、自分で自分に言っている寂しい魔法使いがここに一人。  ふと時計を見れば……いつの間にか開店三十分前という驚きの時間になっていた。 「え!? いつの間にこんなに時間が過ぎたの!?」  ばっとベッドからおりて、急ぎつつ丁寧に身支度をすませる。あとはお店の鍵を持って部屋を出るだけ……。そう思っていたのに、突然大きな音をたてて部屋の扉が開いた。 「え? なにごと?」  私は驚きながら、扉を凝視した。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!