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お客さんがいないので、お茶をお店に持ってきてサクラに出した。もちろんお茶菓子も忘れていない。
「サクラ、ゆっくりしていってね」
「うん、ありがとう」
ほう、お茶を飲むと落ち着くなあ。うん、やっぱりお茶が一番だ。美味しい。
「あ……」
「どうしたの?」
「リラ君さ、パートナー募集してるって本当? ブルーオアシスまで話が来てたけど」
「ブルーオアシス……!?」
あんな遠い町まで話が行ってしまうなんて……恥ずかしさで失神しそうだ。しばらくブルーオアシスに行くのは止めよう。
「リラ君」
「なに?」
「ブルーオアシスでその話を聞いたからさ、いい人いないか探したんだ」
「うん」
「そうしたらいい人が一人いてさ、お店の場所を教えておいたから。たぶんもうすぐ来ると思うよ」
「ああああありがとう!!」
優しく笑うサクラに抱きついてもいいだろうか。きっと許してくれる。私はそう信じている。あ、でもカウンターが邪魔だな。ちょっと破壊して抱きつこうかな。
「ほら、おいで」
両手を広げて私を見るサクラに、また声に出して言っていたのかと後悔したが気にせず抱きついた。
「わあああん! 本当にありがとう!! すごく嬉しい!」
「ふふ、どういたしまして」
……突然頭の中を過った昔パートナーだった人たち。そこで一抹の不安が生まれた。
「あ、でも呆れられてしまわないかな……?」
私の不安をとるかのように額と額をくっつけるサクラ。
「心配しないで。リラ君を不安にさせるような人は選ばないから。だからそんな悲しそうな顔をしないで」
「……」
「ね?」
「うん! サクラ、ありがとう!」
にへーと顔を綻ばせる私の顔を見て、サクラも安心したように笑った。
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