魔法使い、パートナー訪れる

3/7
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
 お客さんがいないので、お茶をお店に持ってきてサクラに出した。もちろんお茶菓子も忘れていない。 「サクラ、ゆっくりしていってね」 「うん、ありがとう」  ほう、お茶を飲むと落ち着くなあ。うん、やっぱりお茶が一番だ。美味しい。 「あ……」 「どうしたの?」 「リラ君さ、パートナー募集してるって本当? ブルーオアシスまで話が来てたけど」 「ブルーオアシス……!?」  あんな遠い町まで話が行ってしまうなんて……恥ずかしさで失神しそうだ。しばらくブルーオアシスに行くのは止めよう。 「リラ君」 「なに?」 「ブルーオアシスでその話を聞いたからさ、いい人いないか探したんだ」 「うん」 「そうしたらいい人が一人いてさ、お店の場所を教えておいたから。たぶんもうすぐ来ると思うよ」 「ああああありがとう!!」  優しく笑うサクラに抱きついてもいいだろうか。きっと許してくれる。私はそう信じている。あ、でもカウンターが邪魔だな。ちょっと破壊して抱きつこうかな。 「ほら、おいで」  両手を広げて私を見るサクラに、また声に出して言っていたのかと後悔したが気にせず抱きついた。 「わあああん! 本当にありがとう!! すごく嬉しい!」 「ふふ、どういたしまして」  ……突然頭の中を過った昔パートナーだった人たち。そこで一抹の不安が生まれた。 「あ、でも呆れられてしまわないかな……?」  私の不安をとるかのように額と額をくっつけるサクラ。 「心配しないで。リラ君を不安にさせるような人は選ばないから。だからそんな悲しそうな顔をしないで」 「……」 「ね?」 「うん! サクラ、ありがとう!」  にへーと顔を綻ばせる私の顔を見て、サクラも安心したように笑った。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!