第1章

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白い天井… 白いシーツ… 甘い香り… 紅く潤んだ唇… 「…っはぁ………」 触れた肢体は冷たくて… 絡まる足が逆に僕の身体を火照らせた。 「…気持ちいい?」 聞かれた問いに応えられないほど… 夢中です。 「もっと…あっ…優しくぅっ」 無理 我慢出来ない もっと 激しく 熱く 壊したい 「守矢ぁっ…」 あ 「勃った」 思わず股間に手が伸びる。 「健康優良児の悲しい性だなぁ」 汗ばんだ身体がべとべと気持ち悪い。 夢から覚めた虚しさが追い打ちをかける。 「あ~…、風呂、かぁ~…」 カーテンから差し込む光。 雀の鳴く声。 そして 騒がしい男どものはしゃぐ声。 朝から気温急上昇のこの夏。 異常気象なんて言うが、もはやこれは日本の亜熱帯化だろう。 毎日毎日勘弁して欲しい。 「ここは日常、いつもの朝」 高校に入って男子寮に入った。 そうして早三年目。 家を出た事を後悔はしていない。 寧ろ良かった。 …ガラガラ… 開け放った窓から、野球部の走り込みの声が耳に入って来る。 漸く現実に戻った事を実感する。 バタンッ! 「守矢ぁあん!」 「ノックぐらい出来ないのか、お前は…」 ドアが壊れるほどの勢い。 「抱きつくな。。。」 毎朝繰り返される。 「あ、起きてる」 覗き込まれると、一気に現実が落ちて来る。 それまでの一人から、第三者が入ると、朝が加速する。 「起きてて悪いか」 夢と 「一緒に添い寝してやろうと思ったのにぃ」 「やめてくれ、気持ち悪い」 汗と 「親友にそりゃないだろうがぁ~」 「誰が親友だ。ただの腐れ縁だ」 光と 「それを親友っつうんだろうがv」 「はいはい」 声と 「悪い夢からちゃんと起きれたか、毎朝心配で来てやってんだぞ~」 「悪い、夢、かぁ…」 甘い香り 甘い声 冷たい肢体 「朝飯食いに行く?」 「おお。着替えるわ、ちょっと待ってて」 囁く濡れた唇から呼ばれると 「犯したくなる」 「は?」 だから 「あ?なんでもない…」 家を出た。 続
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