pluie/プリュイ

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雨がパラパラと降っている。 傘を忘れた俺は、商店街の古本屋の前で雨宿りを決め込む。 店のガラスを背にして街中を眺めていると、皆もふいに降って来た雨に戸惑う様に足早に歩いていた。 綺麗なスカートを足に纏わせながら、女性が走っていく。 俺の好みの長い髪。 ストレートで背中まである髪は、残念ながらパーマのかけ過ぎなのか艶がない。 もっときちんと手入れをすれば、美しいだろうに。 そこまで考えて、俺は肩を竦める。 俺の彼女でもないのに、余計なお世話だろう。 大体、俺は生まれてからこの方、女性とお付き合いした事なんてないんだ。 通りすがりの女性をこうやって眺めるだけだって、多少テレがあって。正面切って見つめるだなんて、そんな勇気もないのは自分で分かっている。 憧れはあるさ。 俺だって男として生まれたからには、いつかは彼女を作って恋人になって。 人生を謳歌してみたい。 そこまで考えてから、俺は苦笑いを浮かべて、足元に出来た水たまりに目を落とす。 此処まで生きて来て、誰一人、俺の彼女にはなってくれなかった。 それどころか、誰からも好きと告白された事もない。 俺からも、気になる女性に、ついぞ告白をしたことはなかった。
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