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「セックスはコミュニケーションだよ」
冷泉(れいせん)さんは、そう言った。
「一方的に奉仕するのは、セックスじゃない。
少なくとも、僕の好みじゃない。
気持ちよければ応えてほしいし、
痛ければガマンするなよ。
ルイ、キチンと伝えてくれ」
落ち着いた大人の雰囲気。
囁くように、真剣な声音。
私は小さく頷いた。
「口に出すのが恥ずかしければ、
そうだな、身体を2回叩け。
プロレスみたいに」
それ、ギブってこと? 今考えると笑える。
当時は全然、余裕がなかったけど。
ガチガチに強張った私の身体。
冷泉さんはゆっくり丹念にほぐしてくれた。
イメージを裏切らず、優しく触れてくれた。
大切な壊れ物を扱うみたいに。
そっとソフトに、デリケートな部分を。
細くて、長い指先で。
正直に言って……、
気持ちよかった。
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