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彼女もこれがアーツだということがわかっていたようで、グリーグを外すとリボルバーの中に装填されたクリスタルを全て抜き取った。
これで男性は魔法による抵抗ができなくなったわけだ。
後は俺が氷の魔法で縛り付けると、ひったくり犯の氷漬けの完成である。
ここまでやれば、もう彼女だけでも大丈夫だろう。
「さて、俺はもう行くわ」
立ち上がってそれだけ言うと彼女に背を向ける。
ここに引き止められて警察にどうのこうの言われるのはめんどくさい。
パシッ…
そう思って走ろうとする俺の手が不意に掴まれた。
振り返ると彼女が顔を赤らめながら俺の手を握っていた。
「……あ…ありがとう……私…サクラ…『サクラ・ベルフェルト』」
少し拙いが、、こっちの言葉で感謝の言葉を述べた彼女はすぐに俺の手を離す。
一瞬の間硬直してしまう俺だが、次に言っていたのが彼女の名前だということに気づくにはそれほどの時間はかからなかった。
ここで名乗らないのは失礼に値すると思った俺は、頭をかきながら返答することにした。
もちろん俺は彼女の国の言葉がわからないし、話せない。
だからなるべく彼女にわかるようにゆっくり返答することにした
「俺は、カイト、『カイト・ハルルク』だ。またどこかで会えるといいな」
それだけ告げるともう一度魔法を発動させて一気にその場から離れた。
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