ⅡⅩⅢ

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百合が戻ってきて 美加に抱きつく。 「後少しだよ! ママ頑張って!」 美加は頷き 百合の手を握りしめた。 山道を歩く二人に 兼三が追いかけてきて 百合と美加の 頭を撫でた。 空いた片方の 百合の手を繋ぎ 三人で山道を上がる。 ――幸せは 当たり前の事じゃない。 大切に大切に お互いを思い合って 美加は笑いながら歩く 兼三と百合を見つめながら思った。 犯人の浮気……… それが 全ての 始まりだったんだ…… 一時の恋愛感情で 犯人は 大切なものの全てを 失ってしまった。 訳もわからず 取り残され 泣いて過ごした小夜子さんと亜衣美ちゃん。 犯人と暮らした片手のない女の人…… 自分の欲望で 遊び歩き 感情で子供を 殴った愛ちゃんの母親。 愛ちゃんを置いて 家を出て行ってしまった愛ちゃんの父親。 大人の勝手な行動で 愛ちゃんは この事件に巻き込まれてしまったんだ。 百合が嬉しそうに 私と兼三の手をひき歩く 美加は百合の手を握りしめ 兼三を見つめて笑った。 お墓参りに行こう 愛ちゃんに会いに。 美加は 青い空を見上げて 山の空気を すぅ~と大きく吸い込んだ。
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