第1章

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白。この部屋を表すことができるのはその言葉だけだった。 壁も白。天井も白。床も白。なにもかもが白いその部屋で男は一人壁を叩いては首を傾げている。 男の名前は嵩貫冬華(かさぬきとうか)。女のような名前である。 が、それでもこれがこの男の名前なのだ。 「こんにちは」 男は、嵩貫は突然現れたそれには驚かなかった。ただ 「…変態か。」とそれは一瞥しただけですぐに壁を手で叩きだした。これには現れた方が驚いたらしく「話を聞く気は?」と涙目にして聞いてきた。
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