第1章

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体の節々が痛い、頭もだるい、自分の手を動かすだけで痛みが走る、体をベットから起こ して立ち上がり汗を掻いて湿っている服をぬいでシャツを脱ぐと上半身が表れた、筋肉質 でもないが脂肪も多くついていない肉体であったが、その表面には青あざがわき腹や胸、 肩や腕には切り傷があった。 パンツも脱いで下着を着てYシャツを着て通っている明禿高校の制服のブレザーを着てネ クタイを締めた。 服を着れば体のあざや切り傷は見えなくなる、制服を着たのだが気分が悪いしつらいので もう一度ベットに倒れこんだ。 高校になんか行きたくない、高校に行けばどうせいじめられる、だが家にいて親の冷たい 視線と口うるさいのと自分の将来のことを考えるといかなければならない、このまま解け ていなくなってしまいたい、しかし、時計が針を進める音が聞こえる、思わず眼を閉じ た。 「隆、起きなさい」 母親の声が聞こえる、緋采隆は嫌だ行きたくないが行かねばならない重い体動かしてベッ トから降りて立ち自分の部屋から出た。 部屋を出て階段を下りて台所に移動すると母親が忙しそうにご飯を盛っていて隆が降りて きて制服に着替えていることに気が付くと言った。 「起きてたんならさっさと降りてきなさい、忙しいんだから」 母親は緋采啓子といい何処にでもいるような中年太りをしたおばさんでスーパーでパート のアルバイトをしている。 母親の顔を見ずにテーブルにすわり朝食を食べた、いつもの味しかしないのでおいしいと か不味いとかの感想ももてない飯を食べ終えて顔を洗い歯を磨いた、そして横になってテ レビを見ていると母親が言った。 「テレビなんて見ていないでさっさと学校に行きなさい、お父さんはもう出て行ったわ よ」 父親は緋采健斗といい、メガネを掛けて身長は高くないのだがやせていて神経質で物の置 き方や整理整頓には厳しく、隆も小さいころから口うるさく言われていて仕事で朝早く出 て行くために顔を見なくてもいいのが救いであった。 「早くしなさいよ」 母親の言葉の節々がいらいらさせる、どうせ学校に言っていなければダメ人間と決め付け 口うるさく罵るつまらない奴だ、隆は母親の顔を見ず鞄を持って黙って玄関のドアを開け て外に出た。 外はむかつくくらい晴れている、日光が嫌いだ、家から出て駅まで歩き、そこから電車に 乗って高校に向かった。
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