第1章

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後ろから声が聞こえてきた、一体俺に何をさせるきなんだ? 高橋が天井を見ていた顔を隆に向けて跳び箱から降りて近寄ってきた、隆は思わず後ろに 後ずさった。 「おいっ」 そういって後ろから背中を押されて高橋に近づいた、すると高橋が何か動いた瞬間に腹に 思いっきり強い衝撃が来てその場に崩れてしまった。 「うっ」 思わず息を止め体を折った隆はそのまま倒れ顔を地面に打ちつけた、全身から大量の汗が 吹き出るのを感じ涙が出てきた、口の中には大量のよだれと逆流してきた胃酸で喉が痛 い。 そのまま倒れていると後ろから強引に引っ張り上げられて立たされた、涙が出てきるので 目がにじんでしまっているが目の前には高橋がいるのがわかった。 逃げなければ、そう思っているのだが体が痛みと恐怖で動かない、すると高橋がボクサー のように拳を構えて隆の腹を何回も殴ってきた。 隆は腹に痛みを感じ自分のよだれと涙が止まらなくなっていることに気が付いた。 もうだめだ、逃げ出したい、何もかもやめてしまいたい。 そう思いながら高橋の顔を見ていると気が遠くなっていった。 目を開けようとすると涙が乾燥して張り付いていた、隆は腕を動かして目をこすって開け、 首を動かして倉庫の中を見渡すと高橋たちはいなくなっていて隆は一人で倉庫に取り残さ れていたようだ、立ち上がろうとして体を動かすと体全体に痛みが走りそのままうずくま った。 殴られた腹と肩が痛んでいるが、隆は痛みを我慢しながら立ち上がった、すると買ってき たパンはすべて食べられ、空の袋だけが残されて代金は残されていなかった。 その残された袋を隆は思いっきり踏みつけた、体を動かすと体に痛みが走ると悔しくなり 痛みとは関係なく涙が出てきた。 その涙を制服の袖手で拭いて痛みを堪えて制服についたほこりを叩いて落としてポケット から携帯電話を取り出して今の時間を見た、既に二時を過ぎており昼休みは終わり六時間 目が始まっている時間であった。 一時間以上気絶していたのか、頭がガンガンして痛む隆は痛みを堪えながら倉庫を出ると 体育館ではどこかの学年のクラスがバスケットをしていた。 扉を開けるとバスケットの応援をしていた外野の男の後ろに出た、応援していた男はいき なり倉庫の中からあらわれた隆に驚き声をあげながらビクリと体を震わせた。 「うわぁ」
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