第1章

66/72

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
するとここに走ってきた教師は溝口校長を見た、校長は溜息をついてからいった。 「仕方がない、お願いします、ですがたぶんただの生徒同士の喧嘩でも大事にしないでく ださいよ」 その返事を聞き頷いてから入り口のところに立っている教師に向かって頷くと教師は今来 た道を走り出し、その後に麻野、鎌本、野田、早坂の順で後について行った。 廊下を突き当りまで走りそこを右に曲がりさらに廊下を進み階段を上がろうとすると生徒 が人垣を作っていた。 「どくんだ、道を明けろ」 先頭を行く先生が生徒をかき分けながら進んでいく後について進むと、階段を上がったと ころで一人の生徒が三人の教師に取り押さえられていた。 「どうしたんですか?」 麻野が言うと生徒の両手を押さえていた教師がこちらを向いた。 「誰ですか?あなたたち?」 「いいからどうなっているんだ!」 野田が大声で言うと、その教師は戸惑いながらも言った。 「この生徒がバットをもって暴れていたため取り押さえたんですが、この奥の教室から何 か破裂したような音が数回聞えて・・・」 すると麻野と鎌本が地面に取り押さえられている生徒と押さえている教師を避けて角を曲 がって教室に向かい、その後を野田と早坂も追っていった。 すると教室の壁に張り付いて中を覗くようにして麻野と鎌本が見え、麻野が手を振って 我々にも壁に張り付くように促しているので我々も壁に貼り付いた。 「どうなっているんですか?」 早坂が小声聞いてきた。 「中では大勢の生徒が窓際に並ばせられています」 鎌本がそう答えた。 「おい、倒れている少年から血が流れていないか?」 麻野がそういい、野田も教室の人間に気付かれないように中を覗いた。 中では男女の生徒が中心に立っている生徒を避けるようにして壁に張り付いていて、その 中心に立っている生徒の近くには倒れている少年から血が広がっているのが椅子や机の隙 間から見え、立っている少年が何か持っていないか見てみると拳銃のようなものを持って いるのが見え顔を引っ込めた。 「真ん中に立っている少年が拳銃らしきものを持っているぞ」 「本当ですか?」 早坂が不安な顔をした。 朝、麻野や鎌本の言った通りに拳銃を持ってこなかったことを後悔しているのだろう、野 田も同じだ。 麻野を見るとこちらを見て言った。 「よし、倒れている生徒を救出したほうがいいみたいだ、教室の前後の扉から同時に入る ぞ」
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加