第1章

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そこにいた三人がなずいた。 「俺と早坂が向こうから、鎌本と野田がこっちから拳銃を持ったのを先頭に入ってきてく れ、野田と早坂が倒れている生徒を廊下に運び出してくれ」 頷くと早坂が麻野のところに足音を立てないように移動し麻野と一緒に反対側まで移動し て行く。 鎌本を見ると拳銃を上着の内側のホルスターから出して中の弾を確認していた。 「自分の身を感じたら迷わず撃てよ、相手が高校生だからと言って油断するなよ」 「はい」 そういうと拳銃の安全装置をはずして構えた。 早坂のほうを見ると麻野が拳銃を構えて準備万端という様子であった、鎌本が頷くと麻野 が三本指を立ててカウントダウンをした。 三、二、一と指を折っていきゼロになったときに鎌本が教室の中には入りながら怒鳴っ た。 「動くな、手を上げろ」 鎌本が教室に響くような大声でいうと反対側からも麻野が同じことを怒鳴りながら入って きた。 拳銃らしきものを持っている少年が振り返るのが見えた、あの少年はたしか防犯カメラに 写っていた少年に似ているなと思っていると少年は振り向きざまに麻野のほうに拳銃を向 けた。 「やめろ」 知らずに叫んでいたが、その言葉をかき消すように発砲音が聞え、窓際にいた生徒達が悲 鳴を上げた。 麻野を見ると拳銃を握ったまま倒れていくのが見えた。 「鎌本!」 早坂が叫び鎌本を見ると鎌本は少年に向けて拳銃を握っていた、少年も気が付いたらしく 鎌本を見た。 鎌本が拳銃で少年を狙うのが見え発砲音が聞え、少年の後ろにいた男子生徒が倒れるのが 見えた。 早坂が撃たれた麻野を引きずのが見え、引っ張られている麻野は腹を打たれたらしく服が 真っ赤になっていた。 少年は鎌本の拳銃の狙いから間一髪で避けたらしく、少年が鎌本に向けて銃を構えるのが 見えた。 「鎌本、撃て」 そう叫んだが鎌本には野田の声が聞こえていないのか呆然と今誤射した倒れた男子学生を 見下ろしていた。 「鎌本!」 野田が叫んだが遅かった、発砲音と共に少年が持っている拳銃がスライドするのが見え思 わず机の間の通路に身を伏せた。 悲鳴が聞えすぐに野田は顔を上げ鎌本を見た、鎌本は椅子や机にぶつかりながら地面に倒 れた。 するとさらに発砲音が聞え鎌本の体がはねるのが見え鎌本が瞬きをせずにずっと目を開い たままこちらを見ていた。 クソ、鎌本が撃たれた。
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