第1章

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麻野と早坂がいたところを見ると廊下に引きずられたような血のあとが続いていて、どう やら逃げたらしい、野田も鎌本を早く連れ出さなければ。 「おい、話を聞いてくれないか、俺は丸腰だ」 そういって野田は手を少年に見えるように手を高く頭の上に伸ばしながら立ち上がった。 立ち上がって少年のほうを見ようとすると窓際に身を寄せている生徒達が見えた、泣いて いる生徒と身を寄せ合っている生徒、他の人を盾にするために奥に行こうとしている生徒 が見えどの顔にも恐怖が浮かんでいた。 少年を見ると少年も殴られた後があり足首から血が出ているようであった。 「もうやめないか、ここにいる人を病院に運べば君の罪も軽くなる」 罪が軽くなるようなことはないが言ったが少年は泣きそうな顔で野田を睨み返しながら叫 んだ。 「俺の罪が軽くなる?じゃあこいつらの罪はどうなんだ、俺が悪者でこいつらは裁かれな いのか?そんなのは納得がいかない」 何をいっているんだ。 そう思っていると少年の拳銃を持っている手が震えているのが見え、そのときに教室の様 子を覗いたときに見た地面に倒れたまま動かない少年が目に入った。 「そこの倒れている少年はどうしたんだ?」 野田が聞くと少年が息を詰まらせるようにいた。 「そいつらが悪いんだ、そいつらが俺に対して理不尽なことするからだ、俺だって痛めつ けられたんだ、正当防衛だ」 警察官を銃で撃っているのだから正当防衛にはならないだろうと瞬時に思った。 野田は先ほどから頭に浮かんでいる疑問について聞いた。 「高橋という少年を殺したのは君なのか?」 「殺すつもりはなかったんだが、奴が俺を殺そうとするからいけないんだ」 そういって少年が叫んだ。 「わかった、わかった、君の言うことは十二分に理解した、だから拳銃を置くんだ」 「俺はもう人を殺したんだ、警察の言うことなんか信用できない」 少年が言った。 「そうかもしれないが、これ以上人を殺しても君の状況が悪くなるだけだぞ」 「俺が捕まったらどうせこいつらは世の中に対して被害者面して訴えるんだ、俺が悪いっ て自分たちがしてきたことを隠してな」 少年は拳銃を持ち上げて茶髪の少年に拳銃を向けた。 「森、お前が俺に言ったことを警官に言え」 すると森と呼ばれた少年は頭を振って嫌々をしながら言った。 「嫌だ、お前はもう人を殺したんだ、俺がどう言おうと関係ないだろう!」
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