第1章

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「うるさい、言わないと殺すぞ」 少年が拳銃をパーマの少年の腹辺りに狙いを定めると頭を震わせながら言った。 「俺は隆に死ねといいながら逃げようとするのを押さえた」 パーマの少年は観念したようにいったが、このような状況で強要された自白は何の意味も 持たない。 「わかった。隆君が追い込まれていたということは認める、だから銃を渡すんだ」 野田は手を上げたまま隆に近づいていった、隆という拳銃を持った少年は金髪の森がいじ めを証言したから満足したのだろう。 野田は上げていた手を差し出すと、隆も拳銃を渡すために拳銃を持ち上げた。 「野田さん、あぶない!」 早坂の声がした少年の視線が声のほうに向く。 今だ。 すばやく拳銃を掴もうとした。 だが、隆は声に警戒して拳銃を引っ込めていた。 拳銃を撃つ音が後方から聞え、拳銃を持った少年の目が見開かれ後ろに倒れ、倒れるのと 同時に少年の拳銃のスライドが動くのが見え発砲音が聞こえた。 胸に熱いものを感じ手で触れると、ヌルっとした感じがして胸を見ると触った手が血で赤 黒くなっており、服に血が広がっていき、足に力が入らなくなりそのまま前のめりに倒れ た。 悲鳴が聞え、少女が何かを言うのが聞えたが、わからなかった。 体から血と共に力が抜けていく、立ち上がろうとしたが腕に力が入らず血で滑ってしまっ た。 体を飛び越えて窓際にいた学生が走っていくのがわかった、だんだんと音が聞えなくなっ ていく、息苦しくなり咳をすると大量の血が地面に飛び散った。 だんだんと気が遠くなり悪寒がしてきて瞼が重くなり目を閉じてしまい再び開くことはな かった。 先ほど出て行った刑事が戻ってきてこちらに銃を向けたのが見えそちらに向けようとした が遅かった。 体に痛みを感じた。 痛さで持っていた拳銃の引金を引いていて目の前にいた警官が崩れ落ちるのが見えたが、 隆も後ろに仰向けに倒れた。 窓際に逃げていた生徒にぶつかり地面に倒れ、撃たれた左肩が熱くなり痛い。 隆は力を振り絞り拳銃の弾倉を取り出し鞄の中に入っていた弾倉と取り替えて拳銃を撃っ てきた警官に向けた。 だが、隆が倒れたのがチャンスだと教室の外に逃げ出そうと出入り口に走って逃げようと し、警官も近づいてこようとしているが逃げようとする生徒で近寄ってこれないようであ った。 教室の外からも教師の清水、河内、井上が入ってこようとしているのが見えた。
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