第1章

7/72

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
その声に反応し隆が倉庫から出てきたことに気が付いていなかった生徒もこちらを見た、 そして体育の教師の河内という男性の教師が近寄ってきた。 どうせここにいたことを注意してさっさと自分のクラスに戻れというはずだ、俺がここで 気を失うまで殴られていたなんて言っても担任の速水と同じで無視して私がサボっていた というだろう。 隆は倉庫の扉を閉めてバスケットの邪魔をしないように迂回しながら校舎のほうに歩いて いった。 今から教室に入るのは気まずくて俺にはできない、どうせクラスの奴らは俺が森に連れて 行かれたのでどこかでボコられてると知っているだろうしそんな奴らの顔なんか見たくな んかなかった。 隆は教室のある校舎には行かず、理科室や調理実習室のある実験棟の一階のトイレに入っ た、トイレの中に入ると独特のにおいがして嫌な気分になるが隆は洗面台のところに行き 水を出して手ですくいあげて口に含んでから洗面台に吐き出して口の中を洗い、もう一度 水をすくいあげて今度はそのまま飲み込んだ。 渇きを潤した隆は大便の個室のドアを開けて中に入った。 ここなら誰も空けないだろうしいくらいても大丈夫だ。 そう思いながら壁に寄りかかり六時間目が終わるまで時間をつぶしていった、その間殴ら れた場所を服を脱いで見てみると、腹などに痣が新しくできていて熱を持って腫れていた りして手で触れてみると痛みが走った。 チャイムが鳴り六時間目の終わりの合図が聞こえると隆はトイレの個室から出て一年棟の 三階の教室に戻った。 教室に着きドアを開けると中では、六時間目が終わり七時間目の準備をしているクラスメ イトの姿があった。 誰も隆の方を見ることもなくどうしたのかと話しかけてくることもなかった、隆は自分の 席に座り他の人の教科書を見て次の授業が英語であることを知り机の中から教科書とノー トを取り出した。 すると体が痛くてジワリと汗が額に浮き出る、汗をぬぐって痛みを我慢しながら英語の授 業を受けた。 授業が終わり隆は教科書とノートを鞄に突っ込んで急いで廊下に出た。 ここでまた高橋たちに捕まってたまりたくない。 逃げるようにして教室から出て廊下を歩き階段を下りて三階から一階に行き玄関の下駄箱 で外履きに履き替えて早歩きで校舎の外に出た、周りには早く家に帰りたい学生や、その まま町に出てカラオケやゲームセンターによって遊んでから帰るのであろう数人と楽しそ
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加