第1章

70/72
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
「ねぇ、早くあいつを撃ち殺してよ」 女の声でそう聞えた、その声には聞き覚えがあった。 顔を声のするほうに向けるとそこには水井が警官に向けて泣きながら言っているのが見え た。 「あんな奴殺してよ、あんな奴生かしておく価値ないし、私が危険になっているのよ、さ っさと撃ち殺してよ」 警官に隆を殺すように促していた。 もういい、すべて捨ててやる、だが見ていろ。 隆は肩の痛みを我慢して上体を起こし、両手で拳銃を構え、水井に向けて引金を三回引い た。 すると水井の白いセーラー服に三つ血が広がっていき他の生徒に寄りかかりながら倒れ た。 周りの生徒は水井突き飛ばして教室から出ようとしていた。 会田が目に入る、引金を二回引く、教室中に発砲音が響き渡る。 会田の頭に銃弾が当たったらしい、背後に脳漿が飛び散るのが見え、脳漿を被った生徒の 制服や顔が真っ赤になり悲鳴が聞えた。 出口で混乱がおきてすぐに出れないようだ、殺到する人垣に向けて拳銃の引金を引いた。 発砲の反動で手首が痛くなってきた、悲鳴が聞え人に当たらなかった弾が窓ガラスを撃ち 抜きガラスに床が落ちる音がした。 すべての弾を撃ち終えて弾倉を入れ替えた。 隆を撃った警官は隆が撃った弾に当たり逃げようとしている生徒を道ずれにしながら地面 に倒れ、道連れにされた生徒も弾が当たっているらしく立ち上がろうとはしなかった。 体の痛みが増してきた気がする体を動かすのがつらい、倒れている椅子のパイプに寄り掛 かるようにして何とか立ち上がった。 教室には死体と動けなくなってしまった者が残っていた。 パトカーのサイレンが遠くで聞えてきた、窓の外を見ると赤色灯が光っているのが見え校 舎の前に止まり車から降りた制服を着た警察官が校舎に入って来るのが見えた。 隆は痛みを我慢し転びそうになりながら隆を撃とうとして生徒を撃った警察官のところに 行き拳銃を拾い上げた。 警官が持っていたのはリボルバーというタイプの拳銃であった、もう一人の警官の拳銃も 取りに行こうとしたが動くたびに激痛が走るのでとりに行くのをやめて近くの椅子に座り なおした。 教室の中では呻き声と共に誰かが漏らした糞尿の臭いがしてきていた、隆は水井を見た。 水井は誰かの血溜まりのなかにたおれていて目を見開いたまま固まっていて、顔には恐怖 で引きつっていて口が開いていて中から舌が飛び出し涙が流れていた。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!