第1章

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水井が悪い俺は何も悪くない、誰も俺を理解してくれないんだ、だから死ぬんだ。 息を大きく吐いてから深く息を吸い込んだ、いろいろな臭いが混ざっていて気分が悪くな った。 隆は自分の体を見ると足から出ていた血は乾燥して張り付いていて血が止まっていたが鈍 い痛みを感じる。 撃たれた場所を拳銃を握った手で触って見た。 肩から血が流れ出ていて上半身のほとんどが血に染まっていて血が椅子を伝って地面に流 れていくのが見えた。 血が流れすぎている、だんだんと痛みが薄れてきている、それに体が重くなってきた気が する。 そう思っていると廊下が騒がしくなるり誰かが階段を登ってくる音が聞えた、隆は歯を食 いしばり力を振り絞り立ち上がった。 音がだんだんと大きくなり大勢の足音であることがわかった、隆はリボルバーを教室の出 入り口の階段に近いほうに向けて構えもう一つの拳銃は血で張り付いてしまっている制服 のポケットに突っ込んだ。 廊下から教室の中に入って来ようとした警官が歩くと砕けたガラスを踏み、ガラスが粉々 になる音がする嫌な音だ。 先頭を入ってきた中年の警官が隆を見つけて叫んだ。 「銃を捨てろ、これ以上抵抗すると射殺するぞ!」 その後にも四人の警官が入ってきて隆を囲むように拳銃を向けた。 隆は何も答えない。 数秒間の沈黙が流れた、遠くではサイレンの音とヘリコプターの回転翼の音が聞えてき た。 まだ警官が増えるのか階段を登り廊下を歩く音が聞える。 「拳銃を捨てるんだ」 周りを囲んでいる警官の誰かが言った。 隆は息を吐いて大きく吸い込んで目を瞑った。 俺はもう生きていても今後いいことはなさそうだ、捕まっても死刑になるしテレビのワイ ドショーのネタになるだけだ、だが最後に俺をいじめた奴らを後悔させてやる。 隆は目を開き警官に向けていたリボルバーの引金を引いた。 発砲音と共に警官の青い制服が一気に赤くなるのが見えた、続けて引金引きまくったが途 中から発砲音はしなかった。 「撃てー!」 その声と共に警官たちの拳銃から発砲音が聞え、ガラスが割れる音と共に体が殴られたよ うに後ろに吹き飛んで窓の壁に背中を撃ちつけて寄り掛かった。 胸が裂けるような痛みを感じる、呼吸をしているのだが何回空気を吸っても酸素が取り込 めていない感覚だ。 「担架をもってこい、大勢倒れている!」 叫ぶ声が聞こえた、だんだんと視界がぼやけて見えてきた。
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