第1章

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た駅前にいた人々も今度の発砲音で事態に気が付き一気にいろいろな方向に走り出しパニ ックになった。 女の人の悲鳴と子供の泣く声が聞こえ我先にその場から離れようとしてサラリーマンも買 い物をしていたおばさんも高校生や中学生も走り出し隆も他人にぶつかりながらその場か ら離れるように一生懸命走った。 隆はサラリーマンの男にぶつかりおばさんを避けながら駅前の路地の中を右や左にでたら めに曲がり走った。 すると遠くでパトカーか救急車のサイレンが鳴る音が聞こえてきた、隆は走るのをやめて 辺りを見渡した、いつの間にか夜に開く店が多い場所に来てしまった。 でたらめに走ったのでどうやってここに来たのかわからないがとりあえず駅に行けば警察 もいて安全になっているだろうと思うのでとりあえず駅の方向に戻ることにした。 人気のないところを選んで歩いていったのですれ違う人がいなく、スナックとかバーなど のピンク色をした看板を眺めながら歩いた。 すると走ったせいで学校で蹴られた場所が熱を持って痛み出した、隆は痛みをかばうよう にゆっくりと歩いていった。 すると店と店の狭い隙間から男が出てきてこちらを見た。 その男と目が合うと男が手に持っている拳銃をこちらに向けた、隆はその男が先ほどのビ ルから降りてきた三人組みの中で倒れた男であることに気付いた。 「ヒッ」 拳銃を向けられて逃げなければならないのだがいつ撃たれるかわからない恐怖で足が震え て動けない。 隆が動かないままで入ると拳銃を向けていた男が拳銃を向けたまま地面に倒れた、しばら く立ったまま動かず倒れた男を見ていると男の下の地面から黒い血が広がっていった。 「死んでるのか?」 隆は近づいていき恐る恐るしゃがみ込み男の肩を叩いた。 「大丈夫ですか?」 男の肩を何度も叩いたのだが男の反応はなかった、警察か救急車を呼ばなければいけない と思い携帯電話を取り出して立ち上がろうとしたが足に何かが触れた。 携帯電話に番号を打つのをやめて足元を見ると男が握っていた拳銃が手から離れて落ちて いて隆のつま先の先にあった。 それを見た瞬間、隆は自分の鼓動が高まるのを感じて心臓の鼓動が立っているだけで聞こ えた。 恐る恐るしゃがみ込んでその拳銃を掴んだ隆はすぐにその拳銃を鞄の中に入れて倒れてい る男を仰向けにしてポケットなどを探った、携帯電話や財布とナイフもあったがそれは取
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