ウォンコゼンワがそこにいる。

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2052.4.28 前日までつけていた手帳が埋まってしまったため、本日よりこの手帳を使用する。またこの手帳には検体のVSなどの実験データも記していくため、もしもこの手帳が廊下にでも落ちていたら、すぐに看護員チシャまで届けること。 検体554f T:39.9 SB:158 DB:96 P:111 RR:32 検体554m T:36.4 SB:113 DB:62 P:68 RR:16 検体555m T:37.0 SB:140 DB:85 P:85 RR:18 3検体にウォンコゼンワ因子(以下WZ因子)を投与して4日目。検体554fのVS異常を認める。降下剤などの薬剤(詳細は個別ファイルに示した)を投入し様子を観察する。 検体554mは落ち着きを見せていて、スタッフをじっと見つめる心理的余裕も観察された。実験成功に期待がかかるが、血清の効果が弱過ぎるという懸念もある。あまりに変化が見られない場合、更なる血清投与も視野にいれる。 検体555mは若干の興奮が見られるが、初めての環境に置かれた緊張によるものかとも思われる。コトコトという天井裏を小動物が走る音が気になるようで、じっと天井を見つめている。 こちらも観察を要し、検体554mと同様、更なる因子投与もあり得る。
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