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「簡単には会えなくなって寂しくなるけど、あんたは自分のやりたい様にやりな、亜姫。やっと手に入れた自由なんだから。」
「でも寂しいぃぃぃっ。辛くなったら何時でも帰ってくるんだよーっ!あたしらは何時でも亜姫の味方だからっ!グズッ、うわぁーんっ!」
たくさんの人の再会と別れを繰り広げられる空港であたし達も同じ事をしていた。
何の職種でも良いから、とにかく自分の生まれ育った故郷を離れたくて、県外での仕事を見つけようと地元からかなり離れた訛りも全然違う土地で、面接を受け、採用されたのだ。
出発日に見送りに来てくれたタレ目が特徴のしっかり者の璃紗。背が一番小さく、誰が見ても可愛いと褒めるであろうが、頭の中が残念な結衣。
二人はあたしの大切な親友だ。
「ありがと、璃紗、結衣。一人でも頑張るね。」
にっこり笑うと、璃紗はタレ目がちな瞳をキョロキョロと動かした。
「………亜姫のお母さんは?見送りには来ないの?」
「ううん、あたしが来なくて良いって言ったの。泣かれちゃったら行くに行けなくなるから。」
というか、もう泣いてたんだけどね。と言うと苦虫を潰した様な表情をした。
「……そっか。それじゃあ行ってらっしゃい。寂しくなったら何時でも連絡してよ。」
「そーそー、あたしら24時間何時でも連絡待ってるから。」
エヘンと、どや顔した結衣に璃紗は自分の頭1個分も背の低い結衣の頭を叩いた。
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