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頭を上げると男の人はジィッ、とあたしの顔を覗きこんでいて、普通、目を逸らさないといけない筈だが、その人があまりにも綺麗な顔立ち過ぎて、顔をまじまじと見つめてしまった。
切れ長の瞳に形の良い唇。髪は真っ黒で無造作にセットされていて、なんとも言えない大人の色気が滲み出ている。
後は女にしては高身長のあたしから見ても背が高い。
185㎝はあるだろうか。
「なななな…何ですか?」
距離がどんどん近くなり口をパクパクと動かすとその人は意外にもその端正な顔を崩しヘラっと笑った。
「いや、見慣れない顔だなぁって思って。」
「あぁ、あたし今日そこの部屋に引っ越して来た篠原です。宜しくお願いします。」
ぺこり、と頭を下げると、あぁ、と男の人も頭を下げた。
「……篠原……何サン?」
「えと、亜姫です。篠原亜姫。」
「へぇ、可愛い名前だな、キミに合ってる。俺は橘響哉。俺も最近越して来たんだよ。新人同士ヨロシク、お隣サン。」
「よ、宜しくお願いしますっ。」
それじゃ。といってあたしの頭をポンポンと撫でた後、橘さんは家へ入っていった。
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