蟲毒と孤独

3/10
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
苛めというものはどこにでもあるものだ。そして私がそのクラスで標的になった。要はそれだけの話だ。それだけの話だが、私にとってどれだけ苦痛だったか、お前らには想像もつかないだろう? お前らは忘れているだろうが、私は忘れていない。だから今もこうして呪っている。 蟲毒を使って。 古代中国で使われていた呪い。虫を使った呪い。器の中に多数の虫を閉じ込め、互いを喰い合わせ、最後まで生き残った最も生命力の強い一匹を用いて呪いを行う。 私の蟲毒はこの女郎蜘蛛。女郎蜘蛛に私を苛めた奴らの名前を与えた虫を喰わせた。そうしたら、その数日後に、そいつは死んだのだ。獣に喰われたような無様な死体を晒して。 驚きと恐怖と共に、言い知れない歓喜を感じたことを覚えている。 呪いは実在し、私は奴らに報復出来るのだ。 その時、甲高い音を立て携帯が鳴った。確かめてみると、婚約者からのメールだ。 [ごめんね、今日行けないかも] 分かったまた誘うよ、と返信をして携帯を閉じた。 今日もまた、違う男と寝るのだろうか。私が気づいてないと思っているんだろうな。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!