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嫌な暑苦しさで目を覚ます。全身にびっしょりと汗をかいて寝巻が肌に纏わりつき、気持ち悪い。
それにしても、この暑苦しさはなんなのだろう。皮膚に絡みつくように、ねっとりとした暑さが纏わりついてくる。
寝巻を着替えようと思い起き上がろうとして、身動きが取れないことに気づく。
「……?――――!?」
なんだ、これは?身体が光る何かで縛られている。身動きすら取れぬようにしっかりと。
じっと見つめていると、それが糸だと分かった。まるで、蜘蛛のような……。
蜘蛛……?
私が糸に気づくのを待っていたかのように、足元で何かが動いた。巨大な何かが、ゆっくりと動く。
「…な……ん…!?」
状況が理解出来ない。夢なのかこれは?
目の前に蜘蛛がいる。私と変わらない大きさの蜘蛛が。あの、逃げ出した女郎蜘蛛だと、なぜか分かった。
私の顔を赤く光る八つの目で見つめながら、脚で優しく顔や腹を撫でてくる。
ぎぃぎぃと、嬉しそうに笑っている。
そして、女郎蜘蛛が動いた。
私の腹に口を近づけ、その牙をめり込ませる。
私を、喰う気なのか?
牙が皮膚を突き破り、肉に食い込んでいく。牙が動かされる度に、肉が抉られていく。
悲鳴さえ、出ない。
きっと、内臓が見えていることだろう。私の肉を喰い荒らす音だけが、耳に届く。
だがそこで、恐ろしいことに気がついてしまった。
「や…め……やめろ…!やめろ…!」
女郎蜘蛛の身体が徐々に徐々に、私の身体の中に入り込んでくる。肉を掻き分けつつ、無理矢理押し入ってくる。
私の身体は蜘蛛の動きに合わせ、震えるだけだ。
女郎蜘蛛の身体が完全に私の身体の中に消えた時、意識が途絶えた。
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