蟲毒と孤独

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「――――――っ!!」 悲鳴を上げ飛び起き、服を捲り腹を見る。何度も何度も撫で回し、傷がないことを確かめる。 嗚呼、よかった。夢だったのか。それもそうか。あんな巨大な蜘蛛がいる訳がない。しかも人を喰うなんて……。 ……いや、あの蜘蛛は人を何人も喰ったじゃないか。私だけは喰わないと、何故言える? しかし、あれが夢じゃなかったとしたら、何故私は生きている?やはり夢なのか?それとも、あの蜘蛛は私に何かしたのか? 考えたところで、分かる訳がないか。 とりあえず、仕事に行く準備をしなければ。そう思い立ち上がったところで、気がついた。 瓶に、女郎蜘蛛の死骸が転がっているのを。 その死骸が、にた、と嗤う。私の中で何かがもぞりと動く。 「う……!!」 怖気。恐怖。 トイレに駆け込み指を喉の奥に押し込み吐き出そうとするが、胃液ばかり溢れてくる。 何度も何度も吐き出そうとしても、もぞもぞと動くだけで私の身体から出て行ってくれない。 あの蜘蛛は私の身体に入り込んで何がしたいんだ?蟲毒にした私を呪い殺したいのか?そうだとしたら待ってくれ。まだ、沢山いるのに。全員を呪うまで、待ってくれどうか。その後に、殺してくれて構わないから。 ぎぃ  ぎぃぎぃ ぎぃ 耳の奥から、鳴き声が聞こえる.とても嬉しそうに、囁くかのように、鳴いている。 ぎぃ ぎぃ  ぎぃ とてもじゃないが仕事に行ける精神状態ではなく、休むことを会社に伝え、布団を被る。
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