第1章

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だから、涼はだれが好きだとか、真菜はだれが好きだとか、気にも止めていなかった。 昨日、涼と抱き合って、眼の前にかかっていたフィルターが消えてなくなった。 見るもの全てが変わって見え始めた。 そして、大事なモノが……くっきりとしたかたちで、目の前に現れた。 涼…… いつも傍にいた涼の全てが愛しくて、心の底から無言で叫んでいた。 『涼から離れて』 青木クンには悪いと思ったけど、電話が終わって駆け寄って来た時、わたしは手を制服のベストのポケットに突っ込んで、手は繋ごうとしなかった。 青木クンはその話題はスル―してくれたけど、やはり、気を悪くしたにちがいない。
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